About Throbak Pickups
Throbak Slug 101
初めてSlug-101を見かけたのは2008年、パーソンズストリートのギブソン・カラマズー工場の古い塗装ブースの横でした。それは明らかに何十年も使用されていない様子でしたので、そのマシンを購入して整備を施し、使えるようにしました。マシンを研究していると、この機械は1930年代のものと判明し、大型であることや年代を考えると1940年代、ES-300の大きく斜めに取り付けられたピックアップをハンドワイヤリングで製造していた機械だと考える事ができます。チャーリークリスチャンピックアップもこの頃、同じ機械で巻いていたのでしょう。
1950年代、Slug-101はギブソンの従業員であったGlen Seybertによって木製のワイヤーガイドとそのワイヤーの張力を調整する機能が追加される事になります。それによって、Slug-101は自動で巻く事のできるワインディングマシンにアップデートされました。その機構にはクリーム色のストラップピンが取り付けてあり、それは今日のギタートラップピンにも採用されています。Slug-101のオートワインディング機構はそれぞれ別のモーターを使用しており、カムなしのユニークなハンドメイドドライブ(回転機)を備えていますが、無限カムを搭載した機械と同様の動作をします。このメカニズムは均一な時間で巻く事の出来る生産効率を生み出します。そして、4つのスラッグP.A.F.ボビンを巻く専用に改造されており、固定されているのでポールピース側のコイルボビンを巻く事はできません。1940年代当時のマシンはニューモデルであるP.A.F.ピックアップを巻く機械に改造され、量産対応型に変換されたのでした。興味深い事に機械にはスクリューボビンを巻くためのパーツも付属していましたが、それが使われる事はなかったようです。P.A.F.を構成するポールピース側のボビンは他のワインディングマシンで巻いており、マッチングさせたのでした。Slug101は実用性と正確に巻く事のできる均一さを融合させたワインディングマシンですが、ビンテージP.A.F.のトーンキャラクターにはどのような影響を与えたのでしょうか? |
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ThroBak Leesona-102 Vintage Guitar Pickup Winder
Leesona 102と102Bはギブソンで唯一のローブドカム付きのワインダーです。これは理論上、ローブドカム仕様ではないLP/KZ-115やSlug-101よりも均等にワイヤーを分配する事ができます。しかし、Leesona102は3 inch〜1/32inchまで巻き幅を調整出来る事が特徴で、P.A.F.を巻くために1/4inchまでダイヤルを落としたところ、調整可能がゆえの"遊び"が生まれ、偶然にもコイルの巻きに不均一さが生まれてしまいました。それは結果として均一に巻かれたコイルよりも独特の丸みのあるトーンキャラクターを作り出し、後に伝説となるP.A.F.サウンドに大きく貢献したのです。
もし、あなたがP.A.F.の大ファンであればおそらくLeesona 102の名前は聞いた事があるでしょう。かつて、スタンダードな工業製品であったLeesona 102は今や世界に3台(ギターピックアップを製造出来る状態として)というレアなものになっています。その中の2台は ThroBak Pickupsが所有しており、それが Leesona102 と Leesona 102B です。元々、Universal Coil Companyにて設計されたLeesona102は一般的なコイルワインディングマシンでローブドカムを備えており、3インチのような大きなものから、1/32インチのような小さなものまで巻く事のできる機械でした。この大きなローブドカムはLP/KZ-115やSlug 101よりも均等にワイヤーを分配する事ができます。未だに残る売り上げ記録によるとLionel TrainsやDalmo Victor Radar Equipment等、多種多様な会社が購入していた事が判明しました。Leesona 102&102Bはギブソン社だけではなく、Rowe Industries (DeArmond)も同じ機械を使っていた記録が残っており、幸運にも素晴らしいサウンドキャラクターのピックアップを巻いていたのです。しかし、残念なことに Leesona 102 の重い重量と大きなサイズは、90年代初期にスクラップとして価値があり、現存するLeesona 102コイルワインダーは非常にレアであることを意味していました。また、P.A.F.ワインダーとして、マーケーティングツールとしてLeesona 102を今見つける事が出来た場合、極めて高価であるという事も意味します。最初のLeesona 102を購入した時にはその価値にまだ気づいておらず、ピックアップワインダーを製造する競合他社から1万ドルのオファーを受けた時は非常に驚きました。このような話はLeesona 102にはつきものです。
Leesonaの販売記録から、ギブソンの所有するLeesona 102 は1954年に製造され、のちに中古でギブソンによって購入されたことがわかりました。ThroBakのLeesona 102は1944年製と1957年製です。今やこのアイコンとも言える機械は、Leesona 102または102Bとして現在も利用可能であり、102Bは102よりも耐久性の高い自動停止カウンターを備えています。当時ギブソンは耐久性の低いカウンターを持つLeesona 102を所有しており、壊れたまま使用していたのか、修理して使っていたのかは未解決のままです。Leesona 102、102Bを所有している私自身の経験から、102のカウンターは現代的なデジタルカウンターにアップグレードが必要でしたが、Leesona 102Bは50年以上が経過してもオリジナルのままで機能しています。 簡単に調節可能な横移動式ワインディング機構と3ステーションの設計により、Leesona 102はP.A.F.だけでなく、専用の部品や機械を持たない他のギブソンピックアップモデルにも使用されたようです。オペレーターの立場からするとLeesona 102の欠点はレイヤー毎のターン数を変更するには1日の大半を費やす事でした。しかし、マシンに取り付けられていたスタンダードなギヤは、P.A.F.のボビンに42 AWGワイヤーを最も効率的に巻くための完璧な組み合わせです。細かい設定が不要だったLeesona 102はKZ/LP-115やSlug-101のワインダーより使いやすいものでした。 |
ThroBak PAF electric guitar pickup reproductions wound on the Leesona 102 and Leesona 102B:
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ThroBak Electric Guitar Pickups
ThroBak Pickupsはは現代に求められるヴィンテージ・トーンを当時と同じワインディングマシンを使って再現しています。オリジナルと同様のワインディングマシンを使ったピックアップのデザインは "当時と同じ製法" である事から、他のピックアップメーカーは忠実性においてはかないません。我々は状態の良いワインディングマシンを探す事から、ヴィンテージのP.A.F.やP-90 のサウンドニュアンスを再現する事まで注力しています。所有しているワインディングマシンはギブソンのカラマズー工場からやってきたものです。かつてプレイヤーの名演奏を生み出した伝説のトーンを今日に蘇らせる真のリプロダクションがここにあります。
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